国際ロータリー基本理念と使命
国際ロータリー基本理念と使命
基本理念
職業人が一体となり、スキルと情熱をもって地域社会に変化をもたらしてきたロータリーの100年以上の実績は、世界中のロータリアンの誇りを高めてきた。ロータリークラブと地区は、ロータリーの使命を遂行し、ロータリーが受け継いできた職業人精神と奉仕の歴史を理解するために、ロータリーのガバナンス(組織統治)に関する資料に加え、ロータリーの基本理念と価値声明に精通するべきである。
社会奉仕に関する1923年の声明(1923 STATEMENT ON COMMUNITY SERVICE)
次の声明は1923年国際大会で採択され、以後の国際大会で改正されたものである。これは、その歴史的価値から手続要覧に含まれている(ロータリー章典8.040.2.)。
ロータリーにおいて社会奉仕とは、ロータリアンのすべてがその個人生活、事業生活、および社会生活に奉仕の理念を適用することを奨励、育成することである。
この奉仕の理念の適用を実行することについては、多くのクラブが会員による奉仕にその機会を与えるものとして、さまざまな社会奉仕活動を進めてきている。以下に掲げる諸原則は、ロータリアンおよびロータリークラブの指針として、また、社会奉仕活動に対するロータリーの方針を明確に表すものとして適切であり、また管理に役立つものであることを認め、これを採用するものである。
- ロータリーは、基本的には、一つの人生哲学であり、それは利己的な欲求と義務およびこれに伴う他人のために奉仕したいという感情とのあいだに常に存在する矛盾を和らげようとするものである。この哲学は奉仕―「超我の奉仕」の哲学であり、これは、「最もよく奉仕する者、最も多く報いられる」*という実践的な倫理原則に基づくものである。*
- 本来ロータリークラブは、事業および専門職務に携わる人の代表として、ロータリーの奉仕の哲学を受け入れ、次の四つのことを実行することを目指している人々の集まりである。
まず第1に、奉仕の理論が職業および人生における成功と幸福の真の基礎であることを団体で学ぶこと。第2に、自分たちのあいだにおいても、また地域社会に対しても、その実際例を団体で示すこと。第3に、各人が個人としてこの理論をそれぞれの職業および日常生活において実践に移すこと。そして第4に、個人として、また団体としても大いにこの教えを説き、その実例を示すことによって、ロータリアンだけでなく、ロータリアン以外のすべての人々が、理論的にも実践的にも、これを受け入れるように励ますことである。 - RIは次の目的のために存在する団体である。
a) ロータリーの奉仕の理念の擁護、育成および全世界への普及。
b) ロータリークラブの設立、激励、援助および運営の管理。
c) 一種の情報交換所として、各クラブの問題を研究し、また、強制でなく有益な助言を与えることによって各クラブの運営方法の標準化を図り、社会奉仕活動についても、既に広く多くのクラブによってその価値が実証されており、RI定款に掲げられているロータリーの目的の趣旨にかない、これを乱すような恐れのない社会奉仕活動によってのみ、その標準化を図ること。 - 奉仕するものは行動しなければならない。従って、ロータリーとは単なる心構えのことをいうのではなく、また、ロータリーの哲学も単に主観的なものであってはならず、それを客観的な行動に表さなければならない。そして、ロータリアン個人もロータリークラブも、奉仕の理論を実践に移さなければならない。そこで、ロータリークラブの団体的行動は次のような条件の下に行うように勧められている。いずれのロータリークラブも、毎年度、何か一つの主だった社会奉仕活動を、それもなるべく毎年度異なっていて、できればその会計年度内に完了できるようなものを、後援することが望ましい。この奉仕活動は、地域社会が本当に必要としているものに基づいたものであり、かつ、クラブ会員の一致した協力を必要とするものでなければならない。これは、クラブ会員の地域社会における個々の奉仕を奨励するためにクラブが継続的に実施しているプログラムとは別に行われるべきものとする。
- 各ロータリークラブは、クラブとして関心があり、またその地域社会に適した社会奉仕活動を自主的に選ぶことについて絶対的な権利をもっている。しかし、いかなるクラブも、ロータリーの目的を無視したり、ロータリークラブ結成の本来の目的を危うくするような社会奉仕活動を行ってはならない。そしてRIは、一般的な奉仕活動を研究し、標準化し、推進し、これに関する有益な示唆を与えることはあっても、どんなクラブのどんな社会奉仕活動にせよ、それを命じたり禁じたりすることは絶対にしてはならないものとする。
- 個々のロータリークラブの社会奉仕活動の選択を律する規定は別に設けられていないが、これに関する指針として以下の準則が推奨されている。
a) ロータリーの会員の数には限りがあるので、ロータリークラブは、市民全体の積極的な支持なくしては成功しえないような広範囲の社会奉仕活動は、他に地域社会全体のために発言し、行動する適切な市民団体などの存在しない土地の場合に限り、これを行うこととすべきであり、商工会議所のある土地では、ロータリークラブはその仕事の邪魔をしたり、横取りをしたりすることのないようにしなければならない。しかし、ロータリアンとしては、奉仕を誓い、その理念の教えを受けた個人として、その土地の商工会議所の会員となって活動すべきであり、また、その土地の市民として、他の善良な市民と一緒に、広くすべての社会奉仕活動に関与し、その能力の許す限り、金銭や仕事の上でその分を果たすべきである。
b) 一般的に言って、ロータリークラブは、どんな立派な事業であっても、クラブがその遂行に対する責任の全部または一部を負う用意と意思のない限り、その後援をしてはならない。
c) ロータリークラブが奉仕活動を選ぶ場合に宣伝をその主たる目標としてはならないが、ロータリーの影響力を拡大する一つの方法として、クラブが立派に遂行した有益な事業については正しい広報が行われるべきである。
d) ロータリークラブは、仕事の重複を避けるようにする必要があり、総じて、他に機関があり、それによって既に立派に行われている事業に乗り出すようなことをしてはならない。
e) ロータリークラブの奉仕活動は、なるべく現存の機関に協力する形で行うことが望ましいが、現存機関の設備や能力が目的の遂行に不十分である場合には、必要に応じ、新たに機関を設けることにしても差し支えない。ロータリークラブとしては、新たに重複した機関をつくるよりも、現存の機関を活用することのほうが望ましい。
f) ロータリークラブはそのすべての活動において、宣伝者として優れた働きをし、多大の成功を収めている。ロータリークラブは地域社会に存在する問題を見つけ出すことはしても、それがその地域社会全体の責任にかかわるものである場合には、単独でそれに手を下すようなことはしないで、他の人々にその解決の必要を悟らせる努力をし、地域社会全体にその責任を自覚させて、この仕事がロータリーだけの責任にならないで、本来その責任のある地域社会全体の仕事になるようにしている。また、ロータリーは、事業を始めたり、指導したりするが、一方、当然それに関心をもっていると考えられるほかのすべての団体の協力を得るように努力すべきであり、そして、当然ロータリークラブに帰すべき功績であっても、それに対する自分のほうの力を最小限度に評価して、そのすべてを協力者の手柄にするようにしなければならない。
g) クラブがひと固まりとなって行動するだけで足りるような事業よりも、広くすべてのロータリアンの個々の力を動員するもののほうがロータリーの精神によりかなっていると言える。それは、ロータリークラブでの社会奉仕活動は、ロータリークラブの会員に奉仕の訓練を施すために考えられたいわば研究室の実験としてのみこれを見るべきであるからである(ロータリー章典8.040.1、23-34、26-6、36-15、51-9、66-49)。
* 採択された審議会決議案10-165により、RIの第二の標語は「One Profits Most Who Serves Best」に改訂された(邦訳に変更はない)。
社会奉仕に関する声明(STATEMENT ON COMMUNITY SERVICE)
1992年規定審議会は、社会奉仕に関する次の声明を採択した。
ロータリーの社会奉仕とは、ロータリアン一人ひとりの個人生活、事業生活、社会生活に奉仕の理念を適用することを奨励、育成することである。
この奉仕の理念の適用を実行することについては、各ロータリークラブが多彩な社会奉仕活動を開発して、会員に奉仕活動の輝かしい機会を与えてきた。ロータリアンの指針として、また、社会奉仕活動に対するロータリーの方針を明確に表すために、その原則は次のようにまとめられる。
社会奉仕は、ロータリアン一人ひとりが「超我の奉仕」を実証する機会である。地域に住む人々の生活の質を高め、公共のために奉仕することは、すべてのロータリアン個人にとっても、またロータリークラブにとっても献身に値することであり、社会的責務でもある。この精神に立脚して、各クラブに対し次のように勧奨する。
- 地域社会における奉仕の機会を定期的に調査し、各クラブ会員に地域のニーズを検討させること。
- 社会奉仕プロジェクトを実施するに当たっては、会員の得意とする職業上の能力や趣味の力を生かすこと。
- どのようにささやかであっても、あらゆる社会奉仕活動が重要であると認識した上で、地域のニーズを汲み、地域内のクラブの立場や力量を考慮してプロジェクトを始めること。
- 各種社会奉仕活動を秩序立てるために、ロータリークラブが提唱するインターアクトクラブ、ローターアクトクラブ、ロータリー地域社会共同隊、そのほかのグループと緊密に協力すること。
- 国際レベルのロータリープログラムと活動を通じて社会奉仕プロジェクトを強化する機会を確認すること。
- 社会奉仕プロジェクトの実行に当たっては、望ましく、また、実現可能な限り、必要とされる資金や人材の提供までも含めて、地域社会にも参加を求めること。
- 社会奉仕の目標を達成するために、RIの方針に沿ってほかの団体と協力すること。
- 社会奉仕プロジェクトが一般社会の人々に十分認められるようにすること。
- 社会奉仕活動においてほかの団体の協同参加を促進する触媒としての役割を果たすこと。
- もしそれが適当であるならば、公共組織、奉仕団体、そのほかの諸団体に、継続中のプロジェクトを委譲すること。そうすれば、ロータリークラブは新プロジェクトに携わることが可能となる。
RIは、ロータリークラブの連合体として、社会奉仕のニーズや活動を伝え、広め、かつロータリーの目的を推進し、参加を望むロータリアンやロータリークラブ、地区の力を結集すれば役立つと思われるプログラムやプロジェクトを適宜、提案する責務を負っている(92-286)。
中核的価値観(CORE VALUES)
2007年、ロータリーは戦略計画の一環として、以下の5つの価値観がロータリアンの基本的特徴であるとの理解の下、これらの中核的価値観を採択した。以来、これら中核的価値観は理事会によって再び確認され、世界中のロータリアンによって強く支持されている(ロータリー章典26.010.2.)。国際ロータリーの中核的価値観は以下の通りである。
- 親睦(Fellowship)
- 高潔性(Integrity)
- 多様性(Diversity)
- 奉仕(Service)
- リーダーシップ(Leadership)
中核的価値観に関する説明は、ロータリーウェブサイト(https://my.rotary.org/ja/strategic-plan)を参照のこと。
四つのテスト(THE FOUR-WAY TEST)
言行はこれに照らしてから
- 真実かどうか
- みんなに公平か
- 行為と友情を深めるか
- みんなのためになるかどうか
四つのテストは、1932年にロータリアンのハーバート J. テイラー(後の国際ロータリー会長)により考案された(ロータリー章典33.070.)*。
ロータリーの目的(OBJECT OF ROTARY)
ロータリーの目的は、意義ある事業の基礎として奉仕の理念を奨励し、これを育むことにある。具体的には、次の各項を奨励することにある:
第1 知り合いを広めることによって奉仕の機会とすること;
第2 職業上の高い倫理基準を保ち、役立つ仕事はすべて価値あるものと認識し、社会に奉仕する機会としてロータリアン各自の職業を高潔なものにすること;
第3 ロータリアン一人一人が、個人として、また事業および社会生活において、日々、奉仕の理念を実践すること;
第4 奉仕の理念で結ばれた職業人が、世界的ネットワークを通じて、国際理解、親善、平和を推進すること(RI定款第4条、標準ロータリークラブ定款第5条)。
五大奉仕部門(FIVE AVENUES OF SERVICE)
ロータリーの五大奉仕部門は、本ロータリークラブの活動の哲学的および実際的な規準である。
- 奉仕の第一部門であるクラブ奉仕は、本クラブの機能を充実させるために、クラブ内で会員が取るべき行動に関わるものである。
- 奉仕の第二部門である職業奉仕は、事業および専門職務の道徳的水準を高め、品位ある業務はすべて尊重されるべきであるという認識を深め、あらゆる職業に携わる中で奉仕の理念を実践していくという目的を持つものである。会員の役割には、ロータリーの理念に従って自分自身を律し、事業を行うこと、そして自己の職業上の手腕を社会の問題やニーズに役立てるために、クラブが開発したプロジェクトに応えることが含まれる。
- 奉仕の第三部門である社会奉仕は、クラブの所在地域または行政区域内に居住する人々の生活の質を高めるために、時には他と協力しながら、会員が行うさまざまな取り組みから成るものである。
- 奉仕の第四部門である国際奉仕は、書物などを読むことや通信を通じて、さらには、他国の人々を助けることを目的としたクラブのあらゆる活動やプロジェクトに協力することを通じて、他国の人々とその文化や慣習、功績、願い、問題に対する認識を培うことによって、国際理解、親善、平和を推進するために、会員が行う活動から成るものである。
- 奉仕の第五部門である青少年奉仕は、指導力養成活動、社会奉仕プロジェクトおよび国際奉仕プロジェクトへの参加、世界平和と異文化の理解を深め育む交換プログラムを通じて、青少年ならびに若者によって、好ましい変化がもたらされることを認識するものである(標準ロータリークラブ定款第6条)。
ロータリークラブの目的(PURPOSE OF A ROTARY CLUB)
本クラブの目的は、「ロータリーの目的」の達成を目指し、五大奉仕部門に基づいて成果あふれる奉仕プロジェクトを実施し、会員増強を通じてロータリーの発展に寄与し、ロータリー財団を支援し、クラブレベルを超えたリーダーを育成することである(標準ロータリークラブ定款第3条)。
青少年と接する際の行動規範に関する声明
(STATEMENT OF CONDUCT FOR WORKING WITH YOUTH)
国際ロータリーは、ロータリーの活動に参加するすべての青少年のために安全な環境をつくり、これを維持するよう努める。ロータリアン、その配偶者、その他のボランティアは、接する児童および青少年の安全を考え、肉体的、性的、あるいは精神的な虐待から身の安全を守るため、最善を尽くす責任がある(ロータリー章典2.100.1.)。
国際ロータリーの標語(MOTTO OF ROTARY INTERNATIONAL)
「超我の奉仕」(Service Above Self)および「最もよく奉仕する者、最も多く報いられる」(One Profits Most Who Serves Best)が、ロータリーの公式標語である(50-11、51-9、89-145、01-678、04-271、ロータリー章典33.080.)。
国際ロータリーの使命(MISSION OF ROTARY INTERNATIONAL)
国際ロータリーの使命は、職業人と地域社会のリーダーのネットワークを通じて、人びとに奉仕し、高潔さを奨励し、世界理解、親善、平和を推進することである(ロータリー章典26.010.1)。
ロータリー財団の標語(MOTTO OF THE ROTARY FOUNDATION)
「世界でよいことをしよう」(Doing Good in the World)が、ロータリー財団の標語である(ロータリー財団章典7.090.1)。
ロータリー財団の使命(MISSION OF THE ROTARY FOUNDATION)
ロータリー財団の使命は、ロータリアンが、健康状態を改善し、教育への支援を高め、貧困を救済することを通じて、世界理解、親善、平和を達成できるようにすることである(ロータリー財団章典1.030.)。